読書感想文1「小さなお店でも稼ぐ経営」(著者 尾長一貴氏)

題名ではお店とありますが、中小企業全般に通用する内容だと思いました。       
 著者の尾長氏は、関西の方で美容室を経営されているそうです。本の中でもご自分の美容室を実例として用いておられます。       
 尾長氏の経営する店舗の特徴は、会員制でサービス(周辺価値)を重視していることと、使えば使うほど髪によいというシャンプーを自社開発して使用していることだそうです。       
 周辺価値とは、例えば美容室で、いくらサービスが良くても第一の目的は髪を切ってもらうために行くわけですので、基本技術という土台があってこそ、そこに付随されるサービスが効果を発揮するという意味です。       
 美容室ではメインの商品がサービスなので、周辺価値の意味が分かりにくいですが、販売店などはメインとなる商品があって、それに付随してサービスがあると思いますので、そちらの方が周辺価値という意味を感じやすいかと思います。       
 周辺価値に対して基本価値があり、それが技術であったり、その店にしかないという商品などです。       
 ただし、周辺価値としてサービスを挙げましたが、サービスも形や質によっては、基本価値になりうるものです。       
 尾長氏は、サービスは周辺価値としながらもそのサービスには、サービス理念ともいえるような考えで取り組んでおられ、 本中にも出てきます。       
 サービスで顧客からの支持を得るためには、[マメさ」をキーワードとして挙げられています。       
 そのマメさとは、いかにさりげない気づかいができるかどうかであり、顧客に「私は大切にされている」という美しき誤解、素敵な錯覚を与えることです。すなわち、「優越感」を与えることであり、これは、リピートビジネスの命となるものです。こういった点で私が感じたのは、ビジネスモデルの違いにより、取るべき戦略は変わってくるということです。       
 私が以前勤めていたコーヒーショップは、もちろんリピートビジネスといえますが、その利益構造から効率性もかなり重要で、一人ひとりの対応に時間を使いすぎると確実に利益は低下してしまいます。優越感というより嫌な気持ちにさせないということが重要視すべきことでした。       
 題名の「稼ぐ経営」とは、その答えの一つとして「ブランド化」があります。ブランドとはよく出てくる言葉ですが、 尾長氏がいうブランドとは、知名度ではなく、これじゃなきゃだめだ、ここでなくちゃだめだと思ってくれる度合のことです。       
 その根源にあるのは、[信頼」や「アテにされること」だと思います。       
 そのために何をするかということになってきますが、ウリ、価値を明確にし、しかるべきPRにより「買う理由」=「価値」を       
 伝える、真摯に伝え続けるとうことだと思います。       
 最後に尾長氏が取り上げられた参考文献中の言葉で「不易流行」というのが出ていました。       
 聞いたことがある言葉でしたが、改めて調べてみると松尾芭蕉の思想の一つで、いつまでも変わらないこと(本質)と変化に応じて変化しなければいけないことがあるということでした。