読書感想文2「経営を強くする会計7つのルール」を読んで

  この本での「経営を強くする会計ルール」とは、簡単にいうと「数字」を経営に活かすルールということです。       
 その7つにルールとは。       
 1.客単価をつり上げる       
 2.顧客数を増やす       
 3.優良顧客を見極める       
 4.ビジネスを高回転させる       
 5.好調品に集中特化する       
 6.だらりを排除する       
 7.プロセスを複眼で観る       
 ということでした。       
 これらのルールは、経営を強くする経営管理の定石です。しかし、強いと呼ばれる経営を行うカリスマ経営者たちは「売り上げのような最終数字と言えるようなものを見るだけでは、強い経営はできない」ということを熟知していて、 経営を強くするために不可欠な数字をコミュニケーションツールとして強い経営を行っています。       
  ルール1の客単価をつり上げるとは、それだけ聞いたらルールというより当たりまえのことだと感じますが、真の意味は、売上という数字を 細分化すること(客数×客単価)が分かった上でのその一つを改善するという一連のプロセスを重視することです。       
  ルール2も同じことです。したがって、客単価を上げるためにさらにどう細分化し、それ以上分けられないところまでいったら、どう行動に 反映させるかということになります。ほんと基本的なことだと思いますが、できていないところがたくさんあるのだと思います。       
  ルール3は、優良顧客を見極めることですが、これも見極めるためにどうするかという問題であり、その判断材料として売上と粗利の関係性や 固変分解による変動損益計算書による判断が必要であることを説いたものです。どう見極めるかは個々の問題であって、それは自社(自分)で考えるべきものだと思います。       
 ルール4の中で、「経営管理に必要な数字全般に言えることですが、数字を単独で使うことは危険で、絶対に避けるべきです。」と書いてありました。       
 私も会社業績や決算内容を説明するときに注意していますが、一つの数値だでみてもそれが果たしていいのか悪いのかの判断はできないので、 ほかの数値との兼ね合いも考慮するということをやっています。さらに、店舗の稼ぎを見るために坪効率を重視するとも書いてありました。これは、俺のイタリアンでも実際に重視しているそうです。       
 1坪当たり売上高や1坪当たり利益額というものについては、私は弱く、今後美容室や整骨院などにも活用したほうがいいのではないかと思いました。       
 最後にルール7ですが、強い会社は、非財務指標にも目を配ることができています。それは、行動や判断に結び付く数字が必要ということであり、売上や利益という結果の数字ばかりでなく、それらが生み出される過程の数字を観る、という 事が重要だということでした。       
 この本で学んだことは、BSCでKPIというものがありますが、行動に結び付けるには、売上目標100万円という旗印ではなく、100万円というのはあくまでも目標結果数値であり、そのために、10件お客様を訪問しようとか、人時売上高を一定額キープしようとか、セミナーを年3回実施しようといった数字で結果を判断できる指標の重要性です。ただでさえ従業員は動かないのに、売上100万円アップしようと言われても、「で、どうやって?」となります。行動に結び付かない指標はほんと机上の空論だと思います。       
        

読書感想文1「小さなお店でも稼ぐ経営」(著者 尾長一貴氏)

題名ではお店とありますが、中小企業全般に通用する内容だと思いました。       
 著者の尾長氏は、関西の方で美容室を経営されているそうです。本の中でもご自分の美容室を実例として用いておられます。       
 尾長氏の経営する店舗の特徴は、会員制でサービス(周辺価値)を重視していることと、使えば使うほど髪によいというシャンプーを自社開発して使用していることだそうです。       
 周辺価値とは、例えば美容室で、いくらサービスが良くても第一の目的は髪を切ってもらうために行くわけですので、基本技術という土台があってこそ、そこに付随されるサービスが効果を発揮するという意味です。       
 美容室ではメインの商品がサービスなので、周辺価値の意味が分かりにくいですが、販売店などはメインとなる商品があって、それに付随してサービスがあると思いますので、そちらの方が周辺価値という意味を感じやすいかと思います。       
 周辺価値に対して基本価値があり、それが技術であったり、その店にしかないという商品などです。       
 ただし、周辺価値としてサービスを挙げましたが、サービスも形や質によっては、基本価値になりうるものです。       
 尾長氏は、サービスは周辺価値としながらもそのサービスには、サービス理念ともいえるような考えで取り組んでおられ、 本中にも出てきます。       
 サービスで顧客からの支持を得るためには、[マメさ」をキーワードとして挙げられています。       
 そのマメさとは、いかにさりげない気づかいができるかどうかであり、顧客に「私は大切にされている」という美しき誤解、素敵な錯覚を与えることです。すなわち、「優越感」を与えることであり、これは、リピートビジネスの命となるものです。こういった点で私が感じたのは、ビジネスモデルの違いにより、取るべき戦略は変わってくるということです。       
 私が以前勤めていたコーヒーショップは、もちろんリピートビジネスといえますが、その利益構造から効率性もかなり重要で、一人ひとりの対応に時間を使いすぎると確実に利益は低下してしまいます。優越感というより嫌な気持ちにさせないということが重要視すべきことでした。       
 題名の「稼ぐ経営」とは、その答えの一つとして「ブランド化」があります。ブランドとはよく出てくる言葉ですが、 尾長氏がいうブランドとは、知名度ではなく、これじゃなきゃだめだ、ここでなくちゃだめだと思ってくれる度合のことです。       
 その根源にあるのは、[信頼」や「アテにされること」だと思います。       
 そのために何をするかということになってきますが、ウリ、価値を明確にし、しかるべきPRにより「買う理由」=「価値」を       
 伝える、真摯に伝え続けるとうことだと思います。       
 最後に尾長氏が取り上げられた参考文献中の言葉で「不易流行」というのが出ていました。       
 聞いたことがある言葉でしたが、改めて調べてみると松尾芭蕉の思想の一つで、いつまでも変わらないこと(本質)と変化に応じて変化しなければいけないことがあるということでした。